学びのつぼ

学校再開後の学習

理解深める復習が優先 

  新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校で約3カ月の学習の「空白」が生まれました。自宅で学校の課題に取り組んだほか、塾に通ったり、通信教材で学んだりした子どももいたでしょう。ただ、多くの子どもの学習量は普段に比べ、かなり少なかったはずです。
 今、学校再開に当たって注力すべきは、中途半端に終わってしまった前学年の復習でしょうか。それとも新学年の予習でしょうか。
 今年のような緊急事態時ではなくても、「予習と復習のどちらが大事ですか」との質問を保護者からよく受けます。結論から言うと、復習しなくていい学習はあり得ません。
 学んだ知識は復習することで重層化し、やがて学力の基盤となります。反復学習に効果があることは心理学研究でも明らか。ぜひ一度、「エビングハウスの忘却曲線」についてインターネットなどで調べてみてください。
 復習は繰り返し教科書を読み込み、学習プリントで間違った問題を解き直し、さらにその類題を解く―というふうに進めましょう。いったん終わった学習の繰り返しを嫌う子どもは多いのですが、復習で理解が深まれば学習意欲は高まります。根気よく取り組ませてください。
 では、予習は必要ないのでしょうか。この点は、子どもの学習意欲の高さによって異なります。
 勉強が得意な子(成績優秀な子)は指示がなくてもテキストを先々まで読み進め、習っていない所までプリント問題を解く傾向があります。それは賢いからではなく、単に知的好奇心が強いから。彼ら、彼女らに予習しているとの負担感はないようです。授業中は事前に理解できなかった部分の確認に集中できるため、予習のお手本といえます。
 一方で、勉強が苦手な子(成績が芳しくない子)にとって、予習は、分からないことをさらに増やす行為でしかなく、強制するのは逆効果。まずは前述した通り、復習を中心とした勉強が優先です。理解力の向上に比例し、やがて学習意欲も高まります。その時点で好きな教科だけでも予習に取り組む。そんなふうになれば理想的です。
 学校再開が間近とみられます。保護者の方も不安はあるかもしれませんが、学校と子どもを信じ、目の前の学習課題を着実に進められるよう、ご家庭でのサポートをお願いします。

 

2020.5.25朝刊掲載

(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)

 

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