学びのつぼ

変わる学校教育

「現場」は家庭の日常に 

 今新しい小学校の学習指導要領がスタートし、もうすぐ1年。プログラミング教育の必修化、英語と道徳の教科化、アクティブラーニング型学習の導入といった大きな改変がありました。ただ、新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態の下では、あまり目立たなかった印象です。
 しかし、社会は激変していきます。IT(情報技術)インフラが整い、グローバル化は一層進み、超少子高齢化社会が到来します。そんな近未来へ向け、教育改革のスピードは速まるばかりです。
 来年4月、民法上の成人年齢が18歳に引き下げられるのをご存じですか? 140年以上続いてきた社会制度の一大変革です。選挙権は先行して引き下げられていますが、さらに親の同意なく売買契約などができるようになります。これを権利の獲得とみるべきか、義務の拡大とみるべきか。
 もちろん「どちらも」なのですが、私個人としては後者の側面が大きくなると受け止めています。その一方、当事者である若者が、責任も伴う「成人」になりたがっているかというと疑問です。つまり、法律が求める18歳の姿と実像に隔たりがあり、学校教育も対応を迫られるでしょう。
 実際に、高校だけでなく小中学校でも消費者教育や金融・税務などを学ぶ機会を増やしているようです。「成人」としての判断が求められる年齢が2年早まるわけですから、「まだ小学生だから」と思われている保護者の皆さんも無関心ではいられません。

 変化の兆しは他にも。教育の在り方を議論する中教審が、小学校高学年に教科担任制を導入するよう提言しています。塾で教科担任制を採る私にも、小学校までも教科別となることには戸惑いがあります。古き良きスタイルが消えていくことに寂しさも覚えます。
 こうして小学校教育が日々更新される中、算数や国語など従来の教科にも取り組むわけですから、今の子どもたちはとても大変です。保護者も、今後の教育環境の変化に敏感でいる必要があるでしょう。
 ただ、塾で子どもたちを見守る中で確信するのは、教育の根幹は家庭にあるということです。親子の会話が多いほど子の学力は高くなるとの研究データもあります。親が子の成長をしっかり見守る―。いつの時代も変わらない「教育現場」が家庭の日常の中にある、と考えています。

 

2021.2.8朝刊掲載

(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)

 

学びのつぼ|中国新聞デジタル https://www.chugoku-np.co.jp/search/result.php?key_txt=%23%8Aw%82%D1%82%CC%82%C2%82%DA