学びのつぼ

受験生の心

適度な距離で見守って 

 今年の中学受験シーズンは既に始まり、広島県内では今月下旬にピークを迎えます。ほとんどの児童が複数校を受験し、少なくても2、3校、多ければ5校以上を受けるでしょう。最初の試験から最後の試験が終わるまでの期間は2、3週間にわたることになります。
 この期間に平常心を保つことは、長らく塾通いを続けてきた子どもにとっても決して簡単ではありません。入試には「勢い」も必要で、序盤の学校をうまくやりこなすことが大切です。しかし、そこでの出来が芳しくなかったり失敗してしまったりすると、極端に不安の方向へと振れてしまう子がいます。
 不安で集中力が揺らぐと、続く入試の結果に影響を及ぼすため、早急に気持ちを立て直さねばなりません。児童を個別に呼び、不安を吐き出させ、終わったことから解放させる。そしてポジティブな言葉の交換を行うことで自信の回復を図ります。
 テンションが変に上がりすぎる子どももいます。子どもには受験期の高揚感を楽しんでいる一面もあるのですが、あまりに浮つき、落ち着きを失うとミスを誘発します。これは適度な緊張がもたらす集中力を欠いている状態と言えます。
 集中力を発揮できなければ、問題をミスなく、実力通りに解き切ることができません。こうしたケースでは他の子どもとの距離を置いて落ち着かせ、信頼関係の厚い担当講師が注意します。
 このように塾では、一人一人の様子を見て最適な対応をしています。受験生のフォローは塾に任せるのがよいでしょう。
 保護者の皆さんはいかがですか。子どもと手を携え、一心同体で頑張ってこられた方も多いはず。その緊張と心配で胸が苦しくなるほどでしょう。「普段通りの態度で」と頭では分かっていても、難しいかもしれません。早起きして子どもと一緒に入試会場へ向かう日々は、保護者の皆さんにとっても非日常ですよね。
 それでも心掛けてほしいことがあります。試験が終わった端から子どもに手応えを聞かないこと。それは自分の気休めであって、子どもには何のメリットもありません。親の不安や焦りは子どもに伝わります。適度な距離を保ち、励まし、癒やすことに徹してください。全ての入試が終わるまで、わが子の、この一度きりの12歳の挑戦をしっかり見詰めてください。 

 

2020.1.11朝刊掲載

(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)

 

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