学びのつぼ

男女共学か、別学か

賛否両論 決めた道正解 

 中学受験率が全国有数の高さである広島県。進学先は国立、公立(県立・市立)、私立と多彩です。いずれも教育に際立つ特色があり、魅力的な学校ばかり。学校選択のポイントはさまざまありますが、中でも悩むご家庭が多いのが「男女共学か、別学か」です。賛否両論あり、本やインターネットで調べるほど答えは見えなくなるでしょう。
 そもそも日本の小学校の99・9%は共学です。広島県内にも別学の小学校はありません。進学先に共学、別学のどちらを選ぶかは、保護者にとって、12~18歳の成長期、または思春期と呼ばれる時期の子どもをどういった環境で学ばせるのか、という選択だと言えます。

 ジェンダーフリーが当たり前になった今、男女別学を、性別による役割分担のあった時代の教育の名残と見る向きがあります。一方で超難関大の入学者の割合は依然、別学校出身者が多く、人気も高いです。
 時代に合わせた教育環境と伝統を継承する教育理念のどちらを重視すべきか。共学、別学のいずれにも長所があり、その論争は永遠に決着しないでしょう。個人的な結論から申しますと「決めた道が正解」です。進学後の生徒や保護者も、そんな感覚ではないでしょうか。逆を選べば良かったとの声を聞くことは、ほとんどありません。
 また、共学校出身の保護者は共学を、別学校出身の保護者は別学を薦める傾向もあります。経験があるだけに学校の雰囲気を想像しやすく、良い思い出がある学校生活をわが子にも送らせてやりたいとの思いからでしょう。実は私もその一人です。
 いずれにせよ、人格形成で大切な時期の6年間を任せるのですから、イメージや偏差値だけで選ぶべきではありません。進学先の候補の学校について、しっかり調べることが重要です。ただ、それは扉の鍵穴から中をのぞくようなもので、入学するまで分からないことはあるでしょう。
 実際のところ、充実した学校生活を送れるかどうかは、共学か別学かよりも「先生との出会い」によるものが大きいと感じます。出会いは偶然の要素ですが、その確率を少しでも高める方法があります。それは、進学先の学校を親子でほれ込むこと。受験校を選ぶ際、そんな視点で家庭でじっくり話し合うことが大切だと思います。

 

2020.8.3朝刊掲載

(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)

 

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