学びのつぼ

英語教育の早期化

正解求めず 親しませて 

 われわれ親世代が子どもだった何十年も前から、英語や英会話は人気の習い事でした。その英語に触れる教育が来年度から小学3年生で始まり、5、6年生では正式な教科となります。高学年は教科書を使って学び、テストがあって通知表で評価されるのですから、保護者も無関心ではいられないでしょう。
 英語教育の早期化には賛否両論ありますが、英語を学ぶ重要性はいまさら議論の余地はないでしょう。「使えない英語」と言われてきたわが国の英語教育。「読む・聞く」のインプット型から、「書く・話す」といったアウトプット型も重視した4技能が問われるようになるのは、大学入試改革からも明らかです。
 広島県の公立高校の一般入試でも、英語で問われた内容を自由英作文で答えるといった問題が出題されています。そうした大きな流れの出発地点となるのが、小学校での英語教育の前倒しや教科化なのです。
 春先に新中学1年生を指導すると、以前より英語の知識が豊富になってきていると感じます。既に小学校高学年で週1コマ実施されている英語学習の成果だと思われます。中学の入学当初からアルファベットを普通に書ける生徒は間違いなく増えました。会話表現も身に付けています。
 では、小学校で英語学習が導入される以前の中学1年生と比べ、そのアドバンテージがどこまで続くのでしょうか。私は、残念ながら中学1年の夏ごろまでのような気がします。それが週1コマの限界でしょう。教科化で来年度から小学校高学年での授業時間は2倍になるとはいえ、さすがにそれだけで子どもの英語力が飛躍的に伸びることは期待できません。
 それよりも、最初から正解を求めるような学習法で萎縮させない配慮が大切です。「好きこそものの上手なれ」の精神で、いかに英語に親しませるかが重要ではないでしょうか。
 英語は言語です。音感を積極的に使ってこそ上達します。教材を「聞きながら読む」「声に出して読む」「書きながら発声する」といった方法です。小学生のうちは少しぐらい適当でも問題ないと思います。
 たくさんの英文や英単語の音に繰り返し触れ、それを視覚から得られる情報と結び付けることで、知らず知らずのうちにつづりを覚えてしまうケースもあります。小学生にはそうした学習法をお勧めします。

2019.6.3朝刊掲載
(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)

 

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