学びのつぼ

読書感想文のコツ

自分の言葉で表現して 

 夏休みの課題の定番といえば読書感想文。苦手だなと思う子どもは多いようです。でも夏は、正面から取り組む最良の時期です。今回は読書感想文を書くコツと、さらに夏休みの過ごし方をお話しします。
 まずは読書感想文についてです。本をさらっと読んだだけでは良い文章は書けません。物語文であれば主人公の心情を理解し話の全景をつかむために「没入」する必要があります。主人公に感情移入して自らがその物語の体験者になることが、究極の読み方と言えるでしょう。
 そのためには何度もページを往復し、味わうように読みふけるだけの時間が与えられる夏休みこそ最適なのです。読後に残る、なんとも言えない疑似体験感覚。これこそが原稿用紙に向かう原動力になります。
 続いて、より良い文章に仕上げるための書き方です。本文をそのまま切り出してつなげるといった手抜きの感想文を見かけることもありますが、これでは力はつきません。感想文とは、それを読む(審査する)人に思いを伝える手紙のようなものなのです。
 本の内容を説明するだけではなく、そこから得られた自分の考えを述べましょう。感情移入した主人公の気持ちをそのまま書くのではなく、一度そこから離れて読者である自分の言葉で表現することも大切です。さらに、それらが決められた文字数の中でバランスよく、一定の密度で書かれているかも求められます。
 このように、実際に取り組むと難しい読書感想文。しかし、情緒と論理といった対極的なものを同時に鍛えることができる大切な学習です。この課題にしっかり取り組める子どもは、将来有望と言っても過言はないでしょう。
 さて、中学受験を目指して学習塾に通う子どもにとって、夏は実力アップの好機。夏期講習は、通常の何倍もの授業時間となります。学校がないため、朝から晩まで勉強する機会はいくらでもあります。
 学力向上と勉強時間、つまり学習量とが深い関係があるのは事実。ただ、長い時間勉強したからといって成果はさほど上がりません。夏休みはオンとオフをきっちり分け、いかに集中して学習に取り組めるかがカギとなります。規則正しい生活リズムを徹底し、自分で決めた学習時間に「没入」できるかが、この夏の真価を決めると言えるでしょう。

2019.7.8朝刊掲載

(転載に関しては中国新聞社の許諾を得ています)

 

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