教壇から見える風景

教壇から見える風景 Vol.1

私が主に担当している「算数パズル教室」では、今年度から新しい取り組みを始めました。
その名も「ヒアリングトライアル」。
講師が読み上げる問題をよく聞いて、メモや図はかかず、頭の中だけで答えを導き出して答える、という形式が特徴です。

 

最近のテレビ番組や動画サイトの投稿を見ていると「視覚優位」の傾向にありますよね。
出演者やインタビューを受けている人の発言を、テロップにまとめて表示して、分かりやすくしたりおもしろおかしくしたりしています。
視聴者側からすると、要点をつかみやすいという利点があるため、テロップが表示されるとつい視線がそこへ行ってしまいます。
でもその間に「聞く」ことがおろそかになってしまい、発言者がどのような言葉を選んで話していたかを聞き逃してしまうことがあります。
発言とテロップを比較しながら見ていると、「今の発言をそんなふうにまとめるのか」とか、「このテロップだと、発言とちょっとニュアンスが違うかも」と気づくことがありますが、テロップだけに集中していると、それに気づかないままになってしまうことも多いでしょう。

 

さて、「ヒアリングトライアル」に取り組み始めた子どもたち、結果はどうかというと、今のところ正解できる子は全体の4割程度、あとの子は間違えたり答えを書けなかったりという状態です。
ただ2回、3回と回を重ねるごとに、「聞き方」が変わってきているなと感じます。
耳を傾けて「一応聞いている」という状態から少しずつ「聞きながら考えている」のだな、という変化が子どもたちの様子から感じ取れるのです。

 

「聞き流す」「聞き逃す」ことなく、「しっかり聞きながら考える」ことができるようになると、学校や塾の授業から学び取れる量は、格段に増えると思います。みなさんもこれから、「しっかり聞く」ことにも意識を向けて、授業を受けてみてください。きっと新しい発見がありますよ!

(エデュパーク広島駅前本校 K・Y)