
勉強の進め方の定着と、現代の子どもたちの環境について
ある日のこと、「勉強ができるようになるってどういうことですか?」と生徒に聞かれました。
この問いに対しての個人的な答えは非常にシンプル。
「その問題が1人でできるようになること」です。
①.できるようになるために、覚える・演習する。
②.できたかどうか、問題を解いて確認する(答え合わせをする)。
③.②の確認のときに、できた問題が偶然ではなく、きちんと理解しているか確認する。
④.②の確認のときに、できなかった問題の原因を探り、再度覚え直し、演習する。
⑤.覚え直した問題ができるようになったか再度確認する。
基本的にはこの流れに沿って勉強を進めていくことで自分の力で解ける問題が1つ1つ増え、結果的に「勉強ができるようになった」と胸を張って言えるようになります。ただ、これを達成するまでのスピードに大きな個人差が生まれます。得意(好き)な科目であれば時間もあまりかからないし、苦手(嫌い)な科目であれば時間がとてもかかってしまうことでしょう。ただ、どの教科であってもこの手順を経ずに自然に成績が上がっていくことはありません。スポーツなどと同様、勉強においても基本の動きを身につけることは必須です。
至極当然のこと、当たり前のことと思われるかもしれません。しかしこの文章を読まれている保護者の皆様は、お子さんが普段この手順をどこまで徹底してできているかについて、ぜひ話し合い、確認してみてほしいと思います。なぜなら、大人にとっては当然のこと、当たり前のことであっても、子どもはできていないというケースは非常に多く存在します。正しく答え合わせすらできておらず、後回しにしてしまっている例などは「受験生あるある」です。
この学習状況の共有と確認作業は非常に大事です。保護者と本人の意識の乖離があるとどうしてもすれ違いが生じます。そこからお互いの衝突も生まれるでしょう。勉強に関してアドバイスしているつもりがいつの間にか叱っている状態になり、勉強に関して話していたはずがいつの間にか普段の生活態度についての小言になってしまい…といった経験を持つご家庭も多いのではないでしょうか。
共有と確認を行うことで、保護者は「この子は、どう勉強を進めていこうと思っているのだろう、自分の現状をどこまで把握できているのだろう」という点について我が子の自己認識を知ることができます。一報子どものほうも「今はここまでできたと思っているけれど、自分に足りない部分は何だろう」と勉強に対する視野を広げることができます。お互いの理解を深めることで、ストレスなく親子が向き合えることは、学習を進めていくうえで非常に重要です。
もちろん、受験勉強・試験勉強に明確な終わりがあるわけではありません。また、学びながら様々なことに興味を持ち、枝葉が広がるように知識を広げることに喜びを感じていく機会もあるでしょう。点数が取れていくことにゲームを攻略していくような楽しみを見つける人も出てくるでしょう。いずれにせよ、知的好奇心や目的意識をもってしっかりと勉強を頑張ってもらいたいと思います。
ただ、小学生や中学生、そして高校生の中にはそういった自学自習の姿勢にたどり着く前に心が折れてしまい、勉強に対して後ろ向きになってしまう子どもたちも少なくありません。上手く勉強ができない子どもたちはどこに問題があったのでしょうか?個人的には、まだ子どもたちが学習の進め方を身につけていないことや、周りの環境が要因で勉強に集中できない子どもを育ててしまっていることが大きく影響しているように思えてなりません。
動画コンテンツやSNSなど、情報過多の時代にあって私たちの時間はどんどん消費されています。もちろん、溢れる情報に流されることなく、一つ一つの情報を整理し、使いこなすことは現代を生き抜くうえで大きな力であることは間違いありません。ただ大人はもちろん子供まで増加する一方の情報の波に翻弄されている現状が、最近耳にするようになった「ドパガキ」といったネットスラングに表れているように思います。しかし、ネットやスマホを手放せない子どもたちが悪いと決めつけてしまうのは早計です。現在の保護者世代が子どもだった時代には考えられなかったほど、脳に刺激の強い情報コンテンツに取り囲まれている現状に立ちすくむ子どもたちに寄り添い、その目線に立ってさまざまなものに対するルールについて相談する機会を設けてほしいと思います。
ルール作りといわれると「そんなガチガチに縛らなくても…」と思われる方もいるかもしれません。しかしもし自分が現代のように動画やスマホ、ネット通信のできるゲームなどに囲まれる中で多感な思春期を過ごしていたら、勉強に打ち込むことができただろうかと自問自答する時、私は正直自信をもって「できた」とは答えられません。もしかしたら、テキストやプリントを目の前に置いてもなお、集中しきれていない自分に最も焦り、困っているのは子ども自身なのではないかと思うのです。このあたりの思いや悩み、そして解決策を家族間で共有し、確認すると新たな発見があるかもしれません。
(牛田教室・山形 進悟)


