お知らせ

2018年度広島県中学入試総括

  国語

 自分が志望する中学校の入試傾向や出題形式に合わせた対策を行うことは、志望校合格への近道のひとつだと言えます。したがって、当院では夏期講座以降『過去問演習』を実施しながら徹底的に得点力をつけていきますが、入試傾向や出題形式が変わる可能性が決してゼロではないということを受験生の皆さんは常に頭に入れておいて下さい。
 さて、国語では、少しずつ問題の形式や傾向を変えてきている中学校が散見されました。ここ近年の傾向として、どの中学校も、その学校独特と言える出題傾向が薄れてきていたので、少し変化をつけて特色を目立たせることで「インスタ映え」ならぬ「問題映え」を狙ったのかもしれません。
 新しい傾向の問題には、2020年に教育改革が本格的にスタートするにあたり、大学入試だけではなく中学入試にも当然その流れが訪れており、漢字、語句といった語彙力、知識量の豊富さに加え、ますます読解力、たとえそれが文章であれ、グラフのような資料であれ、書かれてあることを読み解く力と客観性を必要とするものがあります。特に小学生、中学生の時分は自由な発想をしていくための素地づくりが大切になる期間です。そのためにもこういった国語力がこれからも大いに問われることになるでしょう。
 さて、実際に気になる受験者平均点やボーダー得点といったところは、学校により多少の違いこそあれ、例年と大きな差はなく、5~6割程度といったところでしょう。これは、難しいレベルの問題をいかに正解して合格へ近づくかというわけではなく、基本・標準レベルの問題でどれだけ得点できるかが合否を左右するということを意味しています。
 国語の入試問題は、「漢字・語句文法などの『ことば』の問題」と「読解の問題」の大きく二つの柱で出題されています。近年では、漢字・語句文法など、いわゆる「ことばの知識」について問う問題を多めに、意図的に出題する学校も増えています。これは、近年の子どもの多くに見られる「語彙力の低下」「知識不足」を中学校側が感じているからではないかと思われます。特に入試での漢字については、依然として、筆順や部首、とめ・はね・はらい、全体のバランスといったところにも注意が必要です。実際に入試説明会で取り上げる中学校もあります。
「読解の問題」に関しては、より深い文章の理解と高度な記述力を要する問題も、難関校では出題されるのが現状です。問題に対するアプローチの仕方、解答の作り方・考え方について、しっかりと演習を積んでおく必要があります。それと同時に、制限時間内に最後まで解き終わる「スピード」も重要になります。つまり、こういった文章や問題に対応するには、語学において最も大切な「経験を積むこと」と、「処理速度の向上」とが入試では必須だということでしょう。
 具体的には、「読書」と「問題演習」、この二つの「量」が必要ということになります。当院では「読書」においては、「読書大作戦」、「読む蔵」、「読書感想文コンクール」といった入試傾向に即したツールを使って読書を促しています。また、ことばに関する問題に対しては、普段から辞書を引く習慣をつけることで、語彙力アップを図っています。「問題演習」においては、授業はもちろん、個別添削でも多くの問題を解いていきます。その過程で「論理的な考え方・手法」を身につけることは、読解力をつける必要条件です。国語はなんとなくの感覚、フィーリングで学習するものではなく、論理的に学習するものです。当院での国語の授業は、「論理的な考え方・手法」を身につけることを目指していきます。今、中高一貫校の間でも、国語の授業でこの論理的思考の育成をカリキュラムとして取り入れている学校が多くあります。
 さらに、近年の入試における必須能力といえる「制限時間内に解ききるスピード」については、処理速度向上のため、「速読トレーニング」を多くの生徒が受講しています。
 国語という科目は、一朝一夕に力がつくものではありません。日々の努力の積み重ねによって、じわじわと力がついていく科目です。「日々の取り組み」が最大の入試対策になることを忘れずに、国語の勉強に取り組んでいただきたいと思います。

 算数

 算数では、各学校の出題傾向には大きな変化はありませんでした。難易度については、例外はありますが、全体的にやや易化している印象があります。合格ラインの点数は依然として6割前後だと思われます。どの学校においても基本、標準レベルの問題を正確にミスなく得点していくことが非常に大切なポイントでした。
 学校別に見ると広大附属中の算数だけは、やや難化しました。得点できる問題、難しい問題がはっきりしており、問題の取捨選択に失敗すると、時間が足りなかったであろうと思われます。
 広島学院中は算数Ⅰ、算数Ⅱともにやや易化しました。難しい問題は一番最後に配置してあったので、順に解いていけばよく、そういう意味でも受験生にとって取組みやすかったと思います。苦手分野を作らず、どの分野が出ても解けるように準備しておくことが大切です。
 ノートルダム清心中でも算数Ⅰ、算数Ⅱともに易化しています。算数Ⅰでは時間配分、算数Ⅱの方では大問の、を確実に得点することがポイントです。
 修道中も、昨年と比べ平均点が20ポイント上がっており、比較的解きやすかったです。最後の大問は難しかったので、無理に最後の問題に時間をかけるよりは、それまでの問題の確認に時間を費やした方が良かったかもしれません。
 広島女学院中は、例年通りの難易度で、過去問などをしっかり練習しておけば、特に問題なかったでしょう。
 広島なぎさ中、広島城北中、安田女子中、近大附属中、比治山女子中などについては基本重視の傾向が続き、まずは計算・小問集合問題をいかに取りこぼさないかが合否に直結します。
 算数の対策としては、まず第1に基本問題の早期完成があげられます。基本問題での取りこぼしがあるようでは、なかなか全体として安定した得点が見込めないことになります。できるだけ苦手な単元を作らないように、基本問題を取りきれるようにすることが、合格への近道となるでしょう。
 次に、思考力の養成です。これは、一朝一夕に身に付くものではないですが、思考することをめんどうくさがってしない子と、粘り強く問題に取り組み続けた子では、差が歴然と出ます。本人が日ごろどれだけ頭を使って考えるかがとても大切で、そういう習慣をつけさせていくには、周りも分からないからといってすぐ手助けするようではいけません。教師に質問しに行くときも、ぱっと問題を見てわからないから質問に行くというのはあまり効果がないです。粘り強く取り組ませることで、思考力は必ず伸びます。
 最後に、各学校に合わせた頻出問題の演習です。広大附属中のグラフ、広島学院中の和と差の感覚を問う問題、ノートルダム清心中の特殊算の文章題、修道中の立体図形、広島女学院中の平面図形の問題など過去問を中心にしっかりと練習しておく必要があります。
 当院では、夏期講座以降の実戦演習期に入ってからは、基本問題に対するスピードと応用問題に対する取捨選択の目を養い総合力の早期完成を目指します。上位難関校合格に向けては、後期以降の過去問演習を通じて細かい条件にまで注意して考える深い思考力を鍛えていきます。問題の演習量は必要十分ですので、安易な解法の丸暗記に走らず、しっかりと意味を考えながら学習していくことが、合格への最短ルートです。

理科

 理科では、どの学校も昨年と比べると、やや難しくなってきています。単元別に分類すると、最も多くの出題があったのは、水溶液の単元。8題の出題。溶解度に関する問題や水溶液の性質を問い、分類していく問題が見られました。化学分野のほとんどがこの分野からの出題でした。
 物理分野では、磁石と電流のはたらきに関する問題、ふりことおもりのはたらきに関する出題も見られました。これらは、単なる語句の暗記だけにとどまらず、深い思考を必要とする問題になっていました。
 生物分野では、人の体、水中の生物などの出題が中心でした。
 地学分野では、天気と地震、地層と岩石に関する出題が際立っておりました。天候の急激な変化や災害に対する意識が強くなってきているので出題されたものと思われます。
 理由を答えさせたり、説明を求めたりする出題は、広大附属中、広島学院中、ノートルダム清心中、修道中、広島女学院中、広島なぎさ中、広島城北中、安田女子中Ⅰ、安田女子中Ⅱ、近大附属中、崇徳中、武田中で見られ、52題で、昨年と比べておよそ1.6倍でした。ほぼ、全中学校で出題されました。年々増加しています。リテラシー(与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力)を求めていく傾向がますます強くなっています。単純暗記によらず実験や観察をもとにして、その理由や意味をしっかりと理解することが大事です。また、内容を的確に表現していく力も必要です。
 来年度の入試対策としては、考察力・分析力を要求する問題や単元をまたいだ総合問題の出題に備えて、単純な知識の暗記だけではなく、日ごろから「どうして?」「どんな仕組み?」と考えていきましょう。小学校の教科書をしっかりと読み、単元ごとに基本知識・基本的な計算の演習を励行すること、重要な語句は漢字で正確に書けるように練習すること、覚えた語句の意味が説明できるようになることなどが重要になってきます。また、各中学校の過去問を数年分練習することで、出題の傾向や特徴をとらえていきましょう。

 社会

 社会では、今年度も幾つかの中学校で問題数に増減が見られ、若干の難易度の変化がありました。ただし、いずれも例年の域を超えず、全体的に見ればあまり大きな変更点はなかったように思います。あえて挙げるとすれば、広島学院中で選択肢の中から複数個正解を選び出す正誤問題や、ノートルダム清心中で字数制限のある記述問題が一部見られたことでしょうか。このように、近年では複数の文章を読んでそれぞれの正誤を判断する問題や、内容や理由について短い文章で記述する問題などが増加傾向にあり、今年度も各中学校で出題されていました。これらの問題については、単純に語句を丸暗記するという勉強法では対応できないため、関連する事項と絡めて正確な知識を習得することが必要不可欠です。さらに、理科と合わせた実施形態をとる広大附属中や広島女学院中をはじめ、多くの中学校で時間配分や問題を解くスピードが求められるようになりました。また、「時事問題」や「時事関連の総合問題」、小学校の教科書内容に関する出題も見逃せません。
 入試で高得点を獲得するためのポイントは、3つあります。まず1つ目は、【基本】レベルの問題を確実に正解できるような得点力を身につけることです。当然のことながら、社会では膨大な量の知識をコツコツ努力して蓄積できているかが試されます。反復を繰り返し、丁寧かつ質の高い学習を心がけましょう。次に2つ目は、「記述問題」を数多くこなすことです。ここ数年の「記述問題」の増加傾向は今後も続くと予想され、「平安時代に藤原氏が政治の実権を握ることができたのはなぜか」といった頻出の問題は、暗記してしまうぐらいまで徹底的に練習しなければいけません。そして、資料や知識を組み合わせて記述する「思考問題」にもチャレンジしていくとよいでしょう。最後の3つ目は、広島学院中の「ご当地問題『広島県に関する問題』」や修道中の「地理問題『都道府県の特色を捉える問題』」、ノートルダム清心中の「記号選択の正誤問題『短文正誤問題』」など志望校の入試傾向を『過去問演習』でつかみ、その対策をしっかりと行うことです。1つ目をできるだけ早期に仕上げ、残りの2つでライバルに差をつけることが社会で得点を稼ぐポイントになります。
 来年度に向けては、まず入試の【基本】問題をしっかりと得点できるようにするため、塾の授業を集中して聞き、『カイバくん』や日々の『e-チェック』で基本事項を定着させることが最優先です。例年、上位校に合格する生徒はほぼ毎回9割以上得点していますが、これをおろそかにしてしまうとどの中学校であっても合格ラインには達しません。次に『定着度確認テスト』で自信をつけ、『模擬試験』を活用して自分の苦手な分野を理解し、克服に努めることが大切です。決して解いて終わりではなく、間違えた問題は必ず正解に辿り着くまで繰り返し解き直すようにしましょう。そして、夏期講座以降の『過去問演習』で「記述問題」や「思考問題」の練習、各中学校の対策や教科書対策を行いながら入試に臨みます。当院では日々の学習の流れの中で確認テストや試験を行い、確実な知識の定着と応用問題への対応力を高めていく指導体制を構築しています。