鯉のぼり
5月の爽やかな風と穏やかな陽気に誘われて,郊外の田園地帯にドライブに出かけた。赤瓦の屋根や昔ながらのかやぶきをトタンに変えた古風な家が点々としている田園で黙々と田ごしらえをしている農家の方々を眺めながら,ふと思ったのは,5月にしては鯉のぼりを立てている家庭がほとんどないことだった。
そういう風習は若い方に向かないのか,子供の数が少なくなったあかしなのか,よくわからないが,5月の風情がなく心寂しく感じた。だが,そんな感傷にふけっている最中,菜の花畑の黄色一色に染まった中で,2両編成の電車に,たまたま出合い,ゆっくり走る電車の勇姿を眺められたのは幸運であった。
いつまでも昔のままであってほしいと願うのは,せわしく動く現代人のぜいたくな望みであろうか。

