平成15(2003)年7月19日(土)早朝、安佐北区で、避難勧告が出されるという悪天候の中、開催が危ぶまれたが、午後からは雨も上がり予定通りの開催となった。

 新学習指導要領の施行、大学独立法人化への動き、センター試験5教科7科目への変更など、教育を取り巻く環境は、めまぐるしく変化している。そんな渦中にある有名私立中学は、先を見通した対応が必要となる。このような観点から今回は、『時代を読む教育』と題して、全体会が開催された。

第1部「中学入試対象全体会」

 開催場所である南区民文化センターホールは、554席を定員としているが、満席のため、座席を確保できないほどの参加数となった。生徒・保護者の関心の高さに驚かされた。

 会は、学院長挨拶、各種表彰、入試日程について、学校アピール、クイズ夏の陣、当院教師紹介、アトラクションの次第で進行した。

 始めの学院長挨拶では、二足歩行ASIMOの生みの親である 田上 勝俊(たがみかつとし)氏の「不都合からの発想。誰もわからない未来にあって唯一はっきりしていること。それは先送りした不都合は必ず未来に存在し、将来数倍にもなって我々の前に立ちはだかってくる。」という言葉を引用し、受験学習で、先送りした不都合とは理解が不十分な入試問題であります。基本の一つひとつをクリアーしておかなければ、秋口、冬場、入試に対して何倍もの大きな壁になってきます。「基本に徹する夏、自分に挑戦する夏」と気持ちを引き締め、全体会を自己挑戦の夏への第一歩としてくださいと挨拶をした。

 各種表彰

SGチャンピオンシップ(4回連続)

吉川 知宏くん

読書感想文コンクール最優秀賞 

田尻 智子さん

読書感想文コンクール学院長賞

 田中 裕子さん

速読検定優秀賞(速読検定4級合格)

片岡 慶くん

 つづいて、平成16年度の私立中学の入試日程について副学院長から説明があった。入試日解禁制により、受験校が重なってしまい受験できなくなることを危惧したが、平成16年の日程を見ると、結果的に選択の仕方によるだけで例年同様の受験が可能となっている。新たな問題点としては、間延びした受験日設定で、受験生の緊張感の持続と合格発表後に次の試験があるということから、受験生の精神面のケアーが重大であることに言及し、生徒・保護者・教師が三者一体となって乗り切ることの大切さを強調した。

各学校アピールは、広島学院、ノートルダム清心、修道、広島女学院、工大附属の順で、各学校趣向を凝らしたスライドをスクリーンに映し、それを背景としながらアピールが行われました。

 広島学院の、前廣 等先生(副校長)は、「教科指導」=生徒一人一人がわかった(学ぶ喜び)という体験、「生活指導」=しなければならないこと、してはならないということを体験すること、「担任指導」=生徒がここにいてよいという(学校はもうひとつの家庭)体験、「部活指導」=(1年の1学期は学校に慣れる為、入部させないが2学期からは全員体育クラブへ入部させる)できたという体験、「進路指導」こうしたいという思い(他者の為に生きる人間がベース)を抱く体験を学校教育の大きな五つの柱としていることをアピールされた。最後に「学校生活を楽しめる生徒」にきて欲しいと締めくくられた。

 ノートルダム清心の、門野 光伸先生(広報担当)は、「心を清くし愛の人であれ」という教育方針のもと、「学習合宿」、「MJ(マザー・ジュリー)学習」などの説明があり、『学力=生きていく力』と定義し、「社会の中で真のリーダーになる人材の育成を目指している。自分から何でもやってみようという人、人の意見に素直に耳を傾けられる人であれば、清心の教育方針に充分耐えられるし、そのような人に来て欲しい」とアピールされた。「西広島の駅から徒歩で何分ほどかかるか?」という生徒の質問に在校生は、「晴れなら15分、雨でも20分、雪は30分以上(ただし、雪合戦・雪だるまつくり含む)」と答え、あどけなさの残る生徒の一面をのぞかせた。

 修道の、坪井 悟先生(中学教頭)は、「古くて新しい学校」と形容され、「歴史は今年で278年目を迎える古い学校であるが、設備をここ4年をかけて新しくしており、校舎も来年度完成する新しい学校」と説明された。さらに、自主性を重んじる学校で、自由とは放任ではなく、責任であることを強調。また、参加者の小学生に対し、受験のために努力が必要であるが、努力は好きな学校に入るために必要、自分の夢を実現するために必要だから、自分のためにがんばってくださいと激励。「夢を追いかけ夢を実現できる人に来て欲しい」と締めくくられた。

 広島女学院の、勝部 禎文先生(校長)は、砂本貞吉により117年前に創設され、プロテスタントの学校で、青山学院・同志社・関西学院・フェリス女学院・女子学院など全国に103校の同盟校がある。ゲーンスによってはじめてピアノが持ち込まれたことがきっかけで、音楽に親しみの深い学校であることをアピール。外部からの講師や外国からのお客さんとの交流会を催し、自分の意見をはっきり言えるようにすることを訓練する場が非常に多いことを強調。最後に「11月1・2日の文化祭や9月27日のオープンスクールに参加して女学院のよさを感じてください。」とアピールされた。

 工大附属の、八川 有人先生(校長)は、現在の教育のあり方は、10年以上前からこうなるであろうことを予測し、工大附属内部の教育改革に着手していたことをアピール。「20世紀までは、ヨーロッパや諸外国に追いつく教育、21世紀は、ITにより、グローバル化、多様化した時代で記憶だけでは通用しない時代となった。確かな学力をつけるには、シラバス(指導計画表)の作成が重要で毎年のように工夫・改善している。また国際性、創造力、共学、二学期制などをとりいれたのも答えのない今の時代を生き抜く力を育成するためである。教育には変えていいものと変えてはならないものがることを踏まえつつ取り組んでいる」と力説された。

 クイズ夏の陣(視聴者参加型)は、熟語作りクイズ・歴史人物クイズ・算数クイズと、いつもながらの盛り上がりを見せた。

 教師紹介は、個性豊かな教師の集団に生徒・保護者の緊張をほぐした一幕であった。

 最後に、特別ゲストである山陽女学園バトン部が約10分間「リロ アンド スティッチ」、「シークレット ミッション」、「ファンタズミック」の3曲にのせ、華麗なる演技を披露してくれました。

*山陽女学園バトン部プロフィール

夏の全国高等学校総合文化祭、冬の全国高等学校バトントワリングコンテストへの出場が主な活動。全国大会では17年連続「金賞」受賞。昨年の3月は、アメリカのディズニーランドでパレードを行うなど海外においても幅広く活動している。「笑顔とチームワーク」がモットー。

 参加者の方々は、「親子で受験の意識付けができるよい機会となった。」、「各学校のカラーが出ていてよく理解できた。」、「とても参考になった。」、「このような企画で先生方を拝見し、子どもが塾が楽しいといっているわけがわかったような気がする」などで、大好評のうちに終了した。

 

第2部高校入試対象全体会

第1部同様、南区民文化センターで午後6時から約2時間にわたって実施された。

次第は学院長挨拶、各種表彰、山陽女学園バトン部演技、各学校アピール、教師紹介、クイズ夏の陣であった。

冒頭の学院長挨拶では、当院卒業生で『クワガタになった たけし』の著作者である西村豊氏との対談で、塾の先生からの一言が心の支えとなって、現在医者として勤務する傍ら本も出版できるようになったという氏の言葉を伝え、遅咲きの西村氏ではあるが、さまざまな紆余曲折を経ても,『僕はできるんだ』という自信とたゆまぬ努力でチャレンジすることの大切さを教えてもらったと語った。長い夏休み、私たちはいろいろなメッセージを与えながら皆さんを応援するので、とことんやってみる夏にしようと「自己挑戦の夏」を強調した。

各種表彰

第2回模擬試験総合第1位
(中学1年の部) 
児玉 翔くん
第2回模擬試験総合第1位
(中学2年の部) 
石橋 佑樹くん
第2回模擬試験総合第1位
(中学3年の部) 
貞森 香奈さん
速読奨励賞
(速読検定2級合格) 
木村華夏さん(中学2年生)

 特別ゲストである山陽女学園バトン部が約10分間「リロ アンド スティッチ」、「シークレット ミッション」、「ファンタズミック」の3曲にのせ、華麗なる演技を披露してくれました。

 学校アピールは、山陽女子高等学校、修道高等学校、工大附属広島高等学校、広島城北高等学校、基町高等学校、国泰寺高等学校の順で行われた。

山陽女子高等学校の蒲谷 秀明先生(広報担当)は、校名が「山陽女学園高等部」に来年度より変更になることが伝られた。山陽女学園中等部出身者が来年高校1年になることに起因する。「未来に輝く女性を育てる」が建学の精神で、総合的な指導力の育成、リーダーシップの発揮できる人材の育成を目指し、マナー教育、国際教育、情操教育、自己啓発のために速読の導入などさまざまな取り組みをしていることを力説された。

修道高等学校の田原 俊典先生(高等学校教頭)は、学校案内のタイトル=278年目の挑戦。これは伝統のある学校ということ。どこの学校でも誇れるものがある。修道で誇れるものは2つある。1つは、社会に出たときに肌で感じることができる偉大なネットワークがあること。2つ目は、個性が強い生徒が多いということ。たとえば、現役で東北大学医学部に合格したにもかかわらず東大の医学部が第一志望だから浪人する生徒がいたり、味覚は舌で感じるだけでなく、環境に影響を受けることに興味を持って研究している生徒もいたりする。「1018日に学校説明会・オープンスクールがあるので修道にきたいと思っている生徒はぜひ参加してほしい。」と締めくくられた。

工大附属広島高等学校の八川 有人先生(校長)は、20世紀の教育は、ヨーロッパの科学技術などに追いつく教育で、答えがあったので知識を吸収したり、暗記したりすればよかった。21世紀の教育は答えのない教育だから、記憶中心では生き残れない。生きる力を身につけさせるには、学力をつけること。国際性を身につけること。創造的なものの考え方の養成が重要な意味を持つことだと考え,本校は10年以上前から取り組んできた。先般、大阪教育大学附属池田高等学校の先生方が「人間」という授業の視察にきて、「東京でも大阪でもなくなぜ広島なんだ?」と帰り際におっしゃっていたことが印象的であったと主張された。

広島城北高等学校の清水 悦四郎先生(校長)は、学力をしっかりつけることといい人間(円満な人格・魅力ある人格)の形成に取り組んでいる。使命感を持って社会に役立つことを信念としてもつ子どもたちを育てたい。授業は月〜金に実施し、第二土曜はお休みであるが、その他の土曜日には、行事の代休や特別活動・行事に利用している。クラブ活動や特別活動を含め文武両道を目指し取り組んでいる。校舎が新築されており、女子トイレも整備しているが、当面、保護者用として利用しているが、すべての校舎が完成する二年後には男女共学も射程内にあることを示唆された。

広島市立基町高等学校の菅本 和秀先生(広報担当)は、自主自立・伸びやかな校風で、昭和17年に創立。現在の男女比は3:7→1:1へと変わってきている。男子の優秀な生徒が多く入学してきていることに言及。一昔前には、公立高校から国公立大学へは行けないといわれていたが、単独選抜になってからは、学校の特色を出すことで、年々その数は増加して、今年の国公立大学合格者は193名(現役166名)。公立高校でしっかりとした進路を保証することを念頭において指導にあたっている。クラブ活動を3年間やって、大阪大学へ合格するというような文武両道を目指していると主張された。

 広島県立国泰寺高等学校の小西 省一先生(教頭)は、明治10年に創設。127年の伝統校である。交通の便がよく文化施設がたくさんあるよい環境に恵まれている。今までに四万人の同窓生がおりその中には、金メダリストや政治家などがいて,さまざまな分野で活躍している。国泰寺高校の財産である。社会に有為な人材を育成するために、総合的な人間力を高める。そのためには、(1)クラブ活動・学校行事の充実(2)わかりやすい授業・成績が伸びる授業の展開(3)豊かな自主・自律能力の涵養の3つの点について取り組んでいることを主張。クラブ活動も盛んで、応援団・チアリーダーは有名。バトミントン部はインターハイ出場、ヨット部も全国大会へ、放送部はNHK杯への出場を決めている。826日の数学者秋山仁先生の講演会は在学中学校で申し込みをすれば参加できることを紹介して締めくくられた。

 教師紹介は、個性豊かな教師の集団に生徒・保護者が緊張をほぐした一幕であった。

 クイズ夏の陣(視聴者参加型)は、歴史人物クイズ・数学クイズと、いつもながらの盛り上がりを見せた。

 参加者は、「各学校の詳しい様子が理解できた。」、「各学校短いながらも要点がまとめられていてよくわかった。」、「山陽のバトン部はプロみたいで驚いた。」などなど、あっという間の2時間を堪能したようすであった。


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